bekkou68 の日記

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語源小話: edible から広がる語源の世界

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edible は形容詞で「食用の, 食べられる」という意味があります。語源を調べてみるとシンプルで、ラテン語の edere「食べる」+ able「〜できる」です。そのまんまの意味ですね。逆の意味で inedible「【形】食用でない, 食べられない」がありますが、この語源もシンプルです。in「〜でない」+ edible「食べられる」なので否定の意味になります。

あまり聞き慣れないかもしれませんが edacious という「【形】食いしん坊の」を意味する単語があります。これも同じ語源です。edere「食べる」+ ous「〜の性質がある」が合わさり「よく食べる」と派生し、前述の意味が生まれました。文語ですが comestible も edible とほぼ同じ意味です。先頭の com- は「強意」を意味します。

語源を学習していて注意すべきことの一つとして、同じつづりに見えても違う語源から派生する単語があります。たとえば editor です。edible と edi まで一緒なので、もしや食べることに関係している!? と想像できますが、語源を調べると異なります。editor はちょっと複雑に派生しています。ex-「外側へ」+ dit「与える」+ -or「する人」が合わさり「世 (外) に出版する (出す) ために書いたりまとめたりする人」という意味になり「【名】編集者」を意味するようになりました。語源 dit を含むわかりやすい例が donor です。dit「与える」+ -ate「〜する人」が語源なので意味は「【名】ドナー, 臓器提供者」となります。

dit の他の例として面白いのが date です。由来として 2つの説があるようです。1つ目が、ラテン語の手紙の最初に「与えられた」データが「日付」だったという説です。はるか昔のラテン語の手紙の最初には data という項目がありました。data には発信地や日付が書かれました。その data のつづりが変化して date となり、「日付」を意味するようになりました。2つ目が、古アイルランド語の dan (gift) であるという説です。もしかしたら 2つの説は歴史や宗教などで関連があるのかもしれませんが今回はそこまで調べることはできませんでした。2つ目の説の「日々の時間 (date) は与えられたギフトである」という考え方はなんだか素敵ですね。

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語源 dit を含む英単語

語源小話とは

一つの単語をピックアップし、語源を解説します。さらにそこから派生し、実は別の単語もつながっていることを説きます。語源の世界の魅力を伝えるための文章です。

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語源小話: stun gun から広がる語源の世界

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スイッチオンで高圧電流が流れるスタンガン。英語では stun gun と書きます。

stun 単体では「驚かせる・気絶させる」という動詞です。語源は古フランス語の estoner (to daze) で、そのつづりが縮まって stun となりました。 さらに古フランス語の estoner をさかのぼってみましょう。estoner の語源はラテン語の extonare で、ex (out) + tonare (thunder) に分解できます。つまり「雷で打たれる」が原義です。その原義のイメージから「驚かせる・気絶させる」という意味が生まれたと考えられます。

stunning と形容詞になると「気絶させるような」という意味になります。たとえば stunning results「驚くような結果」を意味します。また原義である「雷に打たれる」はポジティブな意味にも派生しました。たとえば stunning dance「素晴らしいダンス」だったり stunning girl「気絶するほど美しい女性」などがあります。 Red Hot Chili Pepper の Dani California でも "She's a runner, rebel and a stunner" という一節があります。runner, rebel そして stunner の単語の列挙が鮮烈です。

ちなみに astonish も estoner が語源です。他動詞で「おどろかす」という意味です。

英語の語源もそうですが、さらにその語源を探っていくと言葉のイメージの源にたどりつきます。そこを理解すると、単語の意味の派生を芋づる式にイメージでき、頭にはいりやすいので効率的です。その過程の楽しさが語源学習の醍醐味でもあります。

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ex を含む語源

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語源小話: separate から広がる語源の世界

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separate という単語があります。意味は「離す、分ける」です。

語源は se「離す」 + par「〜という状態にする」 + ate《動詞をつくる》です。そのため「離す、分ける」という意味が生まれました。 par はラテン語 parare ( = make) が由来なので意味は「〜という状態にする」「整える」と多岐にわたります。

par を含む別の単語に prepare があります。pre は「前もって」を意味する語源です。 それらが組み合わさると「前もって整える」、つまり「準備する」という意味が生まれます。

また se を含む単語もいくつかあります。たとえば seduce がその一つです。 seduce は、かの有名なスターウォーズでベイダーがダークサイドに落ちた時に使われたセリフ "Vader was seduced by the dark side of the Force." に含まれています。 seduce の duce には「導く」という意味があります。 これに se が加わり、「ほんらい行くはずだった方向より離れた方へ導く」と派生し、seduce の意味は「誘惑する、魅惑する」となりました。

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これは何?

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